相手のことが好きすぎて好きすぎて好きすぎて。でもそれが彼にとって迷惑になるなら、それは愛って言わないのかな?

私は宣言通りあのレストランの前で待っていました。来てくれるか分からない、でも心の本当のところでは無理だって知っていた。だって、バジルはこれから彼女とデートだよ?それを放ってただの"友達"である私のところへくるでしょうか。答えはノーです。分かりきっています。考えるまでもありません。たぶん、この時間だからそのふたりは仲良く、談笑しながらおいしいお料理を食べているのだと思う。それは外食かもしれないし、もしかしたらその彼女の家で彼女の手作り料理かもしれない。十二分にありえることだ。私とバジルにはありえなかったけれど、恋人同士なら何もおかしくないから。
バジルは絶対来ないと分かってる。
だから一度お店のやさしいウェイターさんが「中でお待ちになられたらいかがでしょうか」と声を掛けてくれたときも断った。「ここで待ってます」何時間も何時間もそこに立ち続ける私が迷惑だったのかもしれない。もしくは単純に人として見ていられなかったのかも。ただ私はその約束の場所に立って待ち続けた。軽く営業妨害だ。

来てほしいと頼んだくせに、来てほしくない。来ないでほしい。私を見捨てたのだと、見限ったのだと証明してほしい。お前なんて友達ですらないと。もう会いたくないと言うことはそういうことでしょう?彼は自分の世界から私という存在を消したいのだ。私もデリートされることを望んでいる。
もしくはただひとこと、「嫌い」だと言ってほしい。もう一度、振ってほしいのだ。そうしてやり直して、私に絶望させてほしい。もうこれ以上、きみに迷惑を掛けるのは嫌なんだ。いっそ、再起不能になるまで、心を切り刻んでほしい。あなたの悪い癖である中途半端なやさしさとか、情けとか、いらないから。 あの時、これ以上の絶望はないと思っていたのに私の心にはまだ足りないらしい絶望を与えてほしい。

全部全部全部忘れさせてほしい。悲しみとは何か分からなくなるくらい、絶望させてほしい。
月は雲に隠れて見えない。


殿、待たせてしまってすみません」
「バジルが遅刻するなんて珍しいね」
「すみません」
「うそ。私も今来たの」
「ふたりとも遅刻ですね」
「走る?」
「走りましょう」
ふたりは手を繋いで走った。太陽がサンサンと輝いていた。あのころ


ハッと気が付くと瞼の裏に焼きついていた太陽の光は消え、目を開けても太陽の光など見えるはずもなかった。時計を見ると11時18分。もうこんな時間なのか。"今日"もあと42分で終わり。おしまい。 懐かしい夢を見た。あれはいつのことだっただろう。私はまだあのころ中学生で、バジルも日本に来たばかりだったころのことだと思う。あのあとふたりで走ったけど結局間に合わなかったんだ。それで綱吉に怒られたっけ?あのとき私たちはどこへ行ったのだっただろうか。 最近こんな夢ばかりよく見る。

ぽたり。水が落ちてきて、胸を濡らした。泣いてしまった?と思ったけれどそれは私の目から零れ落ちたものではなかった。雨だ。ぽつり、ぽつり。一粒ずつ一粒ずつ上から落ちてきて、少しずつ少しずつ私の服を濡らした。ぽつ、ぽつ。ああ、お気に入りの服だったのになぁ。

なんで、寂しいとか思ってしまうんだろう。最初からひとりだったらよかったのに。君が私の前に姿を現さなければこんな孤独とか、知らずにすんだのになぁ。5年前?ついこの間のようで遠い昔の話。きみは私の前に姿を現した。きみと私は出会った。あの頃の私はもうすでにバジルのこと好きだったのかな? 5年間。ずっとバジルは私の隣にいたから、きみがいないと落ち着かないよ、ねぇ。
彼は現れないまま私の恋は終わろうとしている。

世界中でひとりぼっち。
07.03.09