あのゼゼくんが! ソファでうたた寝をしている!?
「ぜ、ゼゼくん?」
「んー……」
「超人気スーパーモデビルのゼゼさん……?」
「ん……」
「生徒会役員のゼパル・ゼゼさ〜ん」
「……」
ついには身じろぎすらしなくなってしまった。
遡ること五分前。私が生徒会室でアメリ会長の戻りを待っていると、ふらふらとゼゼくんが入ってきて、そのままふらふら〜っとソファに横になって寝てしまったのだ。
あの様子だと多分私の存在に気付いていない。
「死んで、ないよね……?」
余程疲れていたのか、口が開いている。あのゼゼくんが口を開けて寝ているのだ!
「ちょっとかわいい……」
寝ているゼゼくんはいつもより少しだけ幼く見える。あと当然だけど、喋らないからうるさくない。
そのなめらかな頬に触りたい欲求が湧いてきたけれども、無断で触るわけにはいかない。おさわりはNGとか言っていたようないなかったような。いや、言っていなくてもダメだけれども。
「寝顔見るのもダメだったりするのかな」
寝顔くらいなら雑誌に載ってるから大丈夫かな。撮影では本気で寝てはいないだろうけれど。
そんなことを考えながらソファの端っこに肘をつく。
最近はあのド派手な赤い制服ではなく、生徒会服姿を見ることが多く、前よりも凛々しく大人っぽいなぁなんて思っていたのに。こんなにあどけない寝顔を見せられると何だか心が落ち着かなくなる。
「ねえ、ゼゼくん。そろそろ起きて?」
迷った末に彼の肩を叩いて起こすことにした。「うーん」という声を上げながら彼の眉間に皺が寄る。長い睫毛の間から綺麗な色の瞳が覗いた。
「え!?」
その目の焦点が合って、私の姿を映したかと思うと、ガバリと彼が身を起こす。もう少しでぶつかるところだった。
「女子!? いつの間に……!?」
「私の方が先にいたもん」
無断侵入して寝顔を盗み見ていたような言い方はやめてもらいたい。事実を伝えながら、ゼゼくんが起き上がって出来たスペースに座る。ずっとしゃがんでいて足が痛くなってきていた。
「生徒会の仕事って大変なんだねえ」
アメリ会長の仕事ぶりを見て多少は分かっていたつもりだったけれど、あのゼゼくんまでこんなぐったりとしてしまうとは。私だったらきっと一日で根を上げてしまうだろう。ゼゼくんはすごい。
ほんの少しの尊敬の念で見やると、急に彼の目が輝き出した。――あ、これは何かのスイッチ押したかも。
「その通り!」
そう言ってゼゼくんは立ち上がりポーズを取った。私と目が合うとにっこりと綺麗に微笑んでみせる。
「だから、少しくらい良いでしょう?」
私が「えっ?」と声を上げる間もなく、彼はソファの上に再び寝転がり、頭を私の膝の上に乗せた。
「頑張ってる俺にご褒美を」
2024.07.28