あまりにも暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇でひまでひまでひまでひまでひまでひまでひまで仕方なかったのもだから、私はつなよしのところに遊びに行くことにしました。それなのに奴ときたらせっかく私が遊びに行ってやったというのに出かけてるなんて!(そりゃ私だって突然押しかけてるので文句言えないといったらそうなのですが)
「ごめんね、ちゃん。つなよし、たった今遊びに行っちゃったとこなのよ」 「ああ、そうなんですか?」 「ごめんねーわざわざ来てもらったのに」 「いえ、たいした用でもないので」
この奈々さんとの会話はいったい何回目なのでしょう!こうやって私が会いに来てやるときにかぎってあいつはいないのです。むかつきます私は会いたいのに! ここ最近つなよしはいつも家にいません。ちょっと前までは平日の学校行く時間でさえ家にいたのに(さぼってばっかりいやがって!)最近は学校にちゃんと来て学校でもつなよしに会えてラッキー☆って思ってたのに。今度は休日に会えなくなっちゃうなんて、神様はなんていじわるなのでしょう! ついでにもうひとついうと、最近つなよしは変わりました。ますます格好良くなってる気がします。否、実際格好良くなっているのです。きらきらかがやいてます。友達はよくつなよしの隣にいる山本や獄寺のことを格好良いと称しますが、私はつなよしの方がずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとかがやいていると思うのです。
「あれ、じゃん」
ついにつなよし登場ですね☆ってばっかじゃないの!何でここで出てくるんですか!どうせならもうちょっと前に出てきてほしかったよ。できれば家にいてほしかったよ。
「つなよし!おまえどこいってたの私今家に行ったのに」 「え、あ、なんかごめん。何の用?」 「…用はないけど。どこいってたの?」 「山本と獄寺くんと遊びにだけど」
山本と獄寺も一緒に遊びに行ってたんですかそうですか。私がもう十何回も会いに行ってるのにその間あなたは楽しくあいつらと遊んでたんですか。なんでだよなんでだよなんでだよ… だめだ、私今すごく嫌な子になってます。つなよしは私の彼氏でも何でもないくせに彼をひとりじめにしたいと思っているのです。告白する勇気もないくせにずっと私と一緒にいてほしいと思うのです。彼は私の知らない間に知らない表情で笑ったりするのでしょうか?そういえばこの間つなよしが女の子と歩いてたっていう目撃情報を聞きました。いやだいやだいやだいやだ…
「おーい急に黙るなよ」 「そうだパフェ奢れ!」 「はあ?意味分かんねーよ何で俺が奢らなきゃいけないんだよ!」
ああ、泣きたい。言うことがなくてあんなかわいくないこと言ってしまった自分がきらいです。今まで幼なじみとしてあなたの隣は自分のものだと勘違いしていたのです。こんなかわいくない女の子は幼なじみ以上にしたくないでしょう?ああ、本当に涙が出そう。
「もういいや帰る」 「?どうしたんだよお前今日変だぞ」
別に?なんでもないよ、とだけ言ってくるりと彼に背を向けた。けれども手首をつなよしにつかまれた。つかまれたところが熱い。
「何でもない訳ないだろ。どうしたんだよ」
そういうやさしいところがきらいなんです。勘違いしてしまいます。その笑顔は私だけのものだと思ってしまいます違うのに。そしてその笑顔はとてもすきだと思ってしまいます。
「パフェ奢れ」 「はいはい、奢ってやるから俺に話してみろよ」
力になれないかもしれないけど。なんでそんな表情でこと言うんですか。私がすごく悪い気持ちになってしまいます。できれば言ってしまいたいです。今まであなたに何だって言えた。隠し事は何ひとつなかったけれど、この気持ちだけは秘密。だめ、言えません。どうでもいいことは、何でも思ったままにあなたに言えます。ずばずばと(そんなわたしはきっとかわいくないです)。きっと言えないことはこれくらいだと思う。
「何でもないよ」 「お前がそんなだとこっちも調子狂うっていうか」 「本当何でもないから、大丈夫!」 「うそつけ。今のなんだか泣きそうな顔してる」
どうしてこんなに彼は勘がいいのでしょう。本当に泣いてしまいそうです。心配そうな顔で私を覗き込む彼が大好きです。やさしい彼が大好きです。
「つなよしは、」 「うん」 「ずっと私の隣にいてくれる?」 「今までだってずっと一緒にいただろ?」
なんだ、そんなことか。ってつなよしが笑ったのでとりあえず頭をポカって殴っといた。そんなことってなんですか、私にとってはとても重要なことなんです。今何よりも大切なことです。
「何すんだよ」 「鈍感さすがつなよし!」
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