朝、静かな部屋の中で士郎は目を覚ました。
 彼はむくりと起き上がると、少し長めのえりあしが外にはねた髪を掻く。目を覆い隠す前髪は普段は左右に分けられているものだ。ぐっと伸びをすれば色白い小さい手足が水色のストライプ模様のパジャマから伸びた。小さいとは言ってもそれは大人と比べた場合の話であって彼と同学年である小学四年生の中で比べれば平均である。色白の肌は生まれつきであり、いくら外で遊んでも焼けることはなかった。決して士郎がインドアな子どもだからではない。
 士郎はその小さい手で今度は目を擦る。窓の外からピチチチと鳴く鳥の声が聞こえた。清々しい朝だなぁとあくびを落としながら士郎は思う。しかしそこでふと違和感を覚えた。何かがいつもと違う。
 窓から差し込む光に目を細めながら、士郎は寝起きでぼんやりする頭を必死で働かせて違和感の正体を掴もうとした。窓を見ると昨晩は閉まっていたカーテンは思いっきり開けられていて、そこからあたたかい日の光が士郎のいる二段ベッドの下まで伸びていた。その眩しさで士郎は目を覚ましたのだった。窓の外は雲ひとつない冬晴れの青い空が広がっている。太陽は既に高く上っていた。
 士郎はすぐ違和感の原因に思い当たった。

「アツヤ?」

 アツヤとは士郎のひとつ下の弟だった。アツヤと士郎の部屋は一緒。寝ているアツヤは自分が目を覚ましたときに士郎が起きていないと絶対に起こしにくるのだ。寝起きのいいアツヤがこんな日が高く昇るまで寝ていることはほとんどなく、そのため士郎がひとりで目を覚ますことは珍しかった。
 のっそりと士郎はベッドから這い出た。布団から出ると冬のひんやりとした空気が頬を差した。部屋の中だというのに随分と冷える。
 士郎はベッドから降りて辺りを見回した。ベッドの真正面には、壁際にふたつ並んだ勉強机。その左手にはワールドカップで活躍した有名なサッカー選手のポスターが貼ってある。その下には黒いランドセルがこれまたふたつ仲良く並んでいる。右手には窓があり、その窓の反対側にドアがあった。カーテン以外は昨晩寝る前と変わらない光景である。しかしそのどこにも弟の姿はなかった。
 もしかしたらまだアツヤは寝ているのかもしれない。その考えに思い至って、士郎はその二段ベッドのはしごに手をかけた。落ちないように気をつけながら慎重に一段一段上っていく。はしごのひんやりとした感触が足の裏に伝わる。

「アツヤ、寝ているの?」

 士郎はそう声をかけてベッドを覗き込んだ。しかしそこにあったのは、ぐちゃぐちゃに丸められた布団だけだった。アツヤの姿はどこにもない。士郎ははしごを上りきると、その布団の固まりを捲って中を覗いてみた。やはり布団の中に隠れていたわけではなかった。丸められた布団に人が入っているようなふくらみなんて一切なかったのだから当然だ。しかし、いないと分かっていたけれども士郎は確かめずにはいられなかった。一体どこへ行ってしまったんだろう。もしかしていい天気だから外に遊びに行ってしまったのかもしれない。もし士郎が寝てる間にアツヤの友達が遊びの誘いに来たのならば、誘われるまま出掛けて行ってしまったなんてことは十分考えられる。士郎はまだうまく働かない頭でぼんやりとそう思った。
 今度は一段一段しっかりと足場を確認しながらはしごを降りる。アツヤが自分を置いてどこかへ行くなんて珍しい。気持ちよく寝ている間に近所の友達が迎えに来たりしたのかも知れない。しかしだからと言ってアツヤが自分を起こさずにそのまま出かけるだろうか。
 床に足が着いたのをしっかり確認してから士郎ははしごから手を離した。もしアツヤが自分を置いて先に行ってしまったのなら、追いかけなければならない。気持ちを切り替えようとベッドの隣にある箪笥の前に移動する。
 ベッドの隣に置いてある箪笥は引き出しが三段しかない背の低い箪笥だった。士郎はその上段の取っ手に手を掛けて勢いよく引き出す。中には服がぎゅうぎゅうに詰まっている。その中から士郎はまずズボンを取り出した。そのズボンは穿きやすいという理由で士郎が特に気に入っているものだった。それをぱさりと床に置くと、また箪笥に向き直って士郎は顎の下に右手を当てた。いくつかの服を取り出して並べてみる。上は何を着よう。
 一瞬悩んだのち、一着の水色のトレーナーを残して、あとは丁寧に畳んでもとのように箪笥の中に仕舞う。靴下やシャツなどは一番上にあるものを適当に取り出してトレーナーと同じように床へ置くと、士郎は箪笥の引き出しを閉めた。
 パジャマを脱ぐとひんやりとした空気が肌を刺す。早朝ほどではないけれども日が昇った今でもそれなりに冷え込む。今日は晴れているけれども特に寒い日のように思われる。こんなに寒いのにアツヤはよく起きれたなぁと感心する。着替えるのも結構覚悟がいる。士郎は一思いにパジャマの上を脱ぐとシャツとトレーナーを一気に頭から被った。こんな寒い中アツヤは一体どこへ行ってしまったのだろう。外に出たとしたらどこへ行くだろう。近所の公園だろうか?それとも学校のグラウンド?
 最後に靴下を身につけると士郎は立ち上がり、もう一度部屋を見回した。部屋の隅にはサッカーボールが転がっていた。どうやらアツヤはサッカーをしに行ったわけではないらしい。もしサッカーをするのならば、彼がこのボールを持っていかないはずがない。そして士郎を置いていくはずもなかった。とにかく思い当たる場所へ行ってみよう。
 士郎は後ろ手にドアを閉め、自室を後にした。

 ▽

 階段を下りるとすぐ右手にあるのがリビングやダイニング・キッチンに続くドアだった。そのドアを開け、正面をまっすぐ行くと日がたっぷり当たるリビングだ。左手には士郎のお気に入りであるふかふかのクッションが乗ったソファーがあり、それに丁度対峙するようにテレビが置かれている。部屋の中央にはテーブルが置かれている。
 ドアを入ってすぐ右はダイニング・キッチンになっていた。キッチンは最新のシステムキッチンとは言えないが、士郎の母親によって使いやすいように整理されている。キッチンカウンターの手前にはダイニングテーブルが置いてあり、その上には食事が二人分用意されていた。そしてそのテーブルの奥の席には小さな人影がひとつ。

「にいちゃん!」
「アツヤ、ここにいたの」

 明るい声と共にその人物がこちらを勢いよく振り返った。体と合っていない椅子の上にちょこんと座っている。右手はフォークを握った手が空中で止まったままだ。アツヤが喋るたびに髪がぴょこぴょこ揺れる。士郎の髪がぺたんこになりやすいのに対してアツヤは寝相が悪いのか寝癖で髪があちこちに跳ねている。ふたりの容姿はよく似ているがそこが大きく違った。また士郎はタレ目ぎみで穏和な顔つきをしているが、アツヤはツリ目で無邪気で人懐っこく、いたずらっぽい表情をしている。そのことからふたりが間違えられることはほとんどないと言ってよかった。
 着ているオレンジ色のトレーナーは士郎のものと色違いだ。ズボンはまるっきり士郎とお揃い。士郎とアツヤの服は大体がお揃いか色違いだった。今日はお互いバラバラに服を選んだのに同じものを着ていて、士郎はなんだかそれが嬉しかった。

「今日はすごく早起きだったね」
「二段ベッドの上にいるとすぐ眩しくなるんだ」
「じゃあ今夜は下で寝る?」
「ヤダ!」

 そう言ってアツヤは歯を見せて笑った。いつも二段ベッドの上は競争なのだ。士郎もベッドの上段の方が面白いからそちらで寝たいのだが、大抵はアツヤに譲ってあげている。それは自分はアツヤのお兄ちゃんなのだという気持ちもあったが、アツヤが上で寝れることをとても喜ぶのでいいかと思ってしまうのだった。

「そういえばお母さんは?」

 家の中に気配がないことを疑問に思って、アツヤに尋ねる。アツヤは口の中に詰め込んでいたご飯をもごもご動かす。

「近所のサトウさんちに届けものがあるって出てったよ。兄ちゃんの分のご飯も出来てるから呼んでこいって言われた」
「呼びにきてくれてないじゃん」
「忘れてた!」
「ひどいなぁ」

 適当なアツヤに苦笑しながらキッチンへ向かう。丁度顔のまん前の高さにある冷蔵庫の取っ手を握って引く。パッと冷蔵庫の中がオレンジの光で照らされたが、士郎はそちらではなく、冷蔵庫の扉側を覗き込む。中から牛乳のパックを両手でしっかり持って取り出す。それを一度調理台の上へ置く。

「そんなに心配しなくても食べ終わったら呼びに行くつもりだったよ」

 そんな声がダイニングからキッチンカウンターを越えて聞こえてくる。「本当にー?」とからかう声を出しながら、士郎はキッチンの隅に置かれた踏み台をひっぱり出した。それはまだ小学生で背の低い士郎とアツヤのために用意されたものだった。牛乳パックの口をコップに当ててそっと傾ける。コポコポと音を立てて透明なコップが牛乳で満たされていく。
 牛乳を注ぎ終わると、士郎は再びそれを両手で持って振り返った。開けっ放しだった冷蔵庫の中の元あった場所に仕舞うと、ゆっくりと冷蔵庫の扉を閉める。そして調理台の上にあるコップを手に取り、中身をこぼさないように士郎は慎重に歩いた。

「兄ちゃんこけるなよー」
「アツヤじゃないから転んだりしないよ」

 士郎がそう返せばアツヤのむくれたような声がした。
 士郎は無事コップをテーブルの上に置くと、椅子を引いてアツヤの隣に腰掛けた。テーブルの上にはまだほかほかと湯気の出る白米が茶碗によそられ、香ばしい匂いを漂わせる目玉焼きとベーコンが並んでいる。お皿の隅には彩りにレタスとミニトマトも盛られていた。士郎は「いただきます」と丁寧に手を合わせてから、フォークを取る。いつもと変わらない日曜の朝食だったが、士郎はこのメニューが大好きだった。
 士郎はテーブルの中央に置いてあるソースを取って目玉焼きにかけた。目玉焼きは丸くきれいに焼けており、中央の黄身は白身の膜で覆われていた。フォークをその黄身の中心に突き立て、慎重に目玉焼きを切り分けるとどろりとした黄身が出てくる。それを白身の部分に掬ってつけるようにして口へ運ぶ。
 カチャンカチャンと騒がしい音がして士郎が顔をそちらへ向けるとアツヤがフォークを握り締めて必死で目玉焼きにかぶりついていた。

「アツヤ、ご飯こぼしてるよ」
「あ、本当だ。兄ちゃんティッシュ取ってー」
「もー、仕方ないなぁ」

 士郎は手を伸ばしてティッシュを一枚取るとテーブルの上を綺麗に拭いてやる。アツヤはがっつくせいか、ご飯を食べるときテーブルやら服やら顔やらをすぐに汚す。食べるのに夢中になっていて気が付かないのかアツヤの口の周りに卵の黄身がくっついていた。士郎はもう一枚ティッシュを取ってアツヤの口の周りを拭いてやる。アツヤは大人しくされるがままだ。こういうときばっかり弟ぶるんだから。調子のいいアツヤに少し呆れながらも士郎はそんな弟がかわいく思っていた。アツヤとはひとつしか年が離れていないため、いつもはほとんど友達といる感覚と変わらないがこういうときばっかりはアツヤは弟なのだと意識する。お兄ちゃんぶるのもまんざらではない。

「今日アツヤは何するの?」
「サッカー!」

 士郎はその答えを聞いてくすりと笑みをこぼす。思った通りの答えだ。アツヤはサッカーが大好きだったからだ。それは士郎も同じだったが、アツヤはいつもサッカーのことばかり考えているんじゃないかと思えるほどサッカーに夢中だった。サッカーをやりたいのは士郎も一緒だったが、あることを思い出して眉をひそめる。

「サッカーって、昨日も一日やってたけど宿題は終わったの?」
「うっ」

 アツヤは声を詰まらせた。明後日の方向を見て士郎と目を合わせようとしない。アツヤはお皿の上のミニトマトにフォークを立てた。

「でも兄ちゃんだって昨日一緒にサッカーやってたじゃん」
「僕は夜に宿題やったよ。アツヤはずっとテレビ見てたけど」
「でもでも!今日こんないい天気なんだぜ?外で遊ばなきゃ損だって!」

 それには士郎も同意だったが、ここで折れるわけにはいかない。こうして昼間遊んでしまうとその日の夜にアツヤが泣きついてくるのは分かりきっていることだからだ。どうやって説得しようかな、と士郎は考える。
そのとき「おじゃまします!」という元気の良い声とともにバタバタと騒がしい足音が士郎の耳に届いた。そしてすぐにリビングのドアが勢いよく開けられる。

「士郎くんとアツヤいますか!」

 ドアが開けられて姿を現したのは女の子だった。腰に手を当てて仁王立ち。真っ白いセーターを着て、下はキュロットスカートにタイツという動きやすい格好をしている。
 髪は高い位置でポニーテール。髪ゴムにふわふわとした白い毛のぽんぽんがついている。士郎はそれを見るたびにウサギのしっぽを思い出す。
!」と真っ先にアツヤが反応する。士郎は彼女の名前を呼ぶ代わりに持っていたお茶碗をテーブルの上に置いた。
 は近所に住んでいる女の子だった。時々彼女はこうして士郎とアツヤの兄弟を家まで迎えにくるのだった。それはこうして休日の遊びの誘いのためだったり、平日の朝登校する前だったりする。は士郎とアツヤふたりのお姉さんのように振舞っているが、実際は士郎とは同い年で、そのためはひとつ下のアツヤは呼び捨てだが士郎のことは「士郎くん」と呼ぶ。親同士も仲が良く、よく士郎たちの家に遊びに来るため、勝手知ったるという様子で家に上がってくるのはいつものことだった。

「ふたりともこんなとこにいた!広場で皆が待ってるよ」
「マジかよー!ほら、兄ちゃん早く行こ!」

 アツヤは士郎の服の袖を引っ張った。広場とはこの近所の子どもたちがよく集まってサッカーをする場所だった。士郎とアツヤの兄弟もチームの練習のない日は大体そこでサッカーの練習をしていた。

「でもアツヤ宿題は?」
「え、アツヤ宿題やってないの?」

 そう言いながらは士郎の前の席の椅子を引くとそこに座った。は何も言わずに士郎のコップに手を伸ばすと、中の牛乳を一口飲む。士郎はあっと思ったがは全く気にしていない様子でアツヤの顔を見て目を丸くしてみている。
 アツヤがの方を向いてぷぅと頬を膨らました。

「うるさいなー」
「どうして昨日のうちにやらなかったの?今日はサッカーやるって皆と約束したじゃん」
「あんなのすぐ終わるし!ラクショーだし!」
「そんなこと言って夜遅くに士郎くんに泣きつくのが目に見えてる」
「見えてない!」

 とアツヤの言い合いはさらにヒートアップしていく。それでもふたりがなんだかんだで仲が良いことを知っている士郎は気にせず、食事を続けた。真っ赤なミニトマトを口に含むとプチッとした食感とともに甘酸っぱさが口の中に広がる。

「大体そういうは宿題終わったのかよ!」
「ちゃんと昨日のうちに終わらせたもんねー」

 とアツヤはこうしてよく言い合いをする。気の強いはすぐ反発するアツヤと性格が似ており、同い年の士郎よりも気が合うらしい。

「オレだってちゃんと夜には宿題やるし、大丈夫だって!」
「アツヤ、それ本当?」

 士郎が口を挟むとアツヤはこちらへ振り向いた。

「本当にちゃんとやるって!約束する」
「約束だよ?」

 そう言って士郎は右手の小指をアツヤに差し出した。アツヤは「男に二言はねぇ!」とどこで覚えてきたのだか、そんなことを言う。そしてアツヤは士郎の差し出す小指に自身の小指を絡めた。士郎が「ゆびきりげんまん」と歌うとアツヤも声を重ねた。

「うそついたらはりせんぼんのーます!」

 歌いきって小指を離す。サッカーが出来るのが嬉しいのかアツヤはにこにこと笑顔を見せている。ガタリと音がしてそちらを見るとが立ち上がっていた。

「じゃあ行こう!皆ふたりとサッカーしたくてうずうずしてるんだから」

 は来たときと同じように騒がしく部屋を出て行く。アツヤは「おう!」とに答えてコップを手に取ると中に入っていた牛乳を一気に飲み干した。そしてぴょこんと椅子から飛び降りる。士郎の脇を通り抜けて、の後に続いてリビングを出て行った。
 それを見て士郎も慌てて茶碗に残っているご飯を掻き込む。元々少ししか残っていなかった米を口に入れて数回咀嚼して飲み込む。空になった茶碗を置き、「ごちそうさまでした!」と手を合わせてから開きっぱなしになっていたリビングのドアから出る。
 士郎はアツヤがまだ玄関に座っているのを見て目を丸くした。アツヤはもうとっくに外へ出て行ってしまったものだと思っていた。

「待っててくれたの?」
「お気に入りの靴を出すのに手間取っただけ!」

 そう言ってアツヤは立ち上がる。その足に履かれているのは普段履いているのと変わらない靴。その靴は靴箱に仕舞われず玄関に出されたままになっていたはずだ。

「素直じゃないんだから」

 士郎が言うとアツヤはぷいと顔を背ける。くすりと笑ってしまったのがいけなかったのか、アツヤはそのまま玄関を出て行ってしまおうとする。しかし、玄関の靴箱の上に乗っているものがふと士郎の目に留まった。

「アツヤ待って!」

 その声に反応してアツヤがピタリと足を止める。くるりと振り返ったアツヤに向かって士郎は手招きをした。アツヤは首をかしげながらも、てとてととこちらへ戻ってくる。

「マフラー忘れてる」

 玄関の脇に置いてあったアツヤのマフラーを取って、それを首に巻いてやる。アツヤは少しずつ顔をほころばせながらじっとしていた。このマフラーはアツヤのお気に入りのマフラーだった。寒がりのアツヤは冬になると外に出るときはいつもマフラーを巻いていく。しかし、今日は早くサッカーがやりたいと焦って忘れてしまってたらしい。

「はい、できた」

 士郎が言うが早いかアツヤはすぐさま外へ駆け出して行ってしまう。まったく落ち着きがないんだから。士郎は靴箱から靴を取り出して、履こうと屈んだ。その瞬間「兄ちゃん!」とアツヤの声がして士郎は顔を上げた。

「兄ちゃんありがと!」

 冬のあたたかい日差しの下でアツヤは笑っていた。それを見た士郎の目も自然と細められたのだった。

(2010.12.20)